My Memory

No.02  生まれ変わり

「違う違う。俺男だから姫じゃなくて王子さ☆」
「へ・・・ぇ。」
(いや、ってーかそこ?!)
突然現れたこの男に唖然とするが、今は別に疑問がある。
「おい、アンタ。さっきのって・・・・一体・・・・」
いきなり「呼ばれた」と言ってどこかへ消えた兄。
そしてその後に聞こえた己を桃太郎と言い、戦えと促した声。
何が起こっているのか全く分からない桃夜にとって、今この事態を説明してくれるのはこの白雪貫太郎と名乗る男だけだろう。
そう判断した桃夜が疑問を口にすると、貫太郎は何とも言えない渋い顔をした。
「やっぱ、なぁんも覚えてない・・・か。」
「は?」
はあーーっと深い溜息を一つ吐き、桃夜を真っ直ぐと見据える。
「今から手短に説明すっけど、説明終わるまで極力静にしててネ。」
「あ、ああ。分かった。」
真剣なんだかふざけてるのか分からない貫太郎の態度に一瞬遅れて肯定する。
「一つ目。 まず桃夜の事からね。
 さっきの『鬼』にも言われてたケド、桃夜は『桃太郎』なんだ。」
「・・・・・・・・・。」
貫太郎の説明に声を出さず半信半疑の視線を向ける。
すると貫太郎に視線の意味が伝わったのか、「正確には生まれ変わり」と付け足した。
「つまり俺の前世ってことか?」
桃夜が自分の憶測を話すと、物分りが早いと貫太郎が笑った。
その態度に少しむっとしながら、笑ってないでさっさと続きを言えと促すとやっと笑うのを止め、説明に戻った。
「で、二つ目。 まあ続きみたいなもんだけど、鬼と桃太郎の関係について。
 昔話にもあるデショ?あの通りに双方戦っていたんだ。
 そして桃太郎が苦戦を強いたけれど勝利した。」
「何か問題でもあるのか?」
勝利したと言う事は喜ばしい事のはずなのに険しい顔をする貫太郎に聞くと、静かに頷いた。
「鬼は桃太郎の事を恨み呪った。 ただそれだけならまだ良いケド、鬼は違った。
 鬼には力があったからね。その力で絶命する直前、自分と桃太郎に呪い(まじない)をかけた。」
「呪いって、どんな?」
貫太郎はより一層表情を険しくし、低い声で呟くように言った。
「800年後の世界でのゲーム。・・・つまり君と鬼の生まれ変わりがたたか・・・・・ッ!!」
「白雪ッ!!」
突然、今までピクリとも動かなかった『鬼』が貫太郎の体を吹き飛ばした。
貫太郎はそのまま壁に激突し、重力の流れに従って床へ落ちる。
「おい!大丈夫かっ?!」
「っ逃げろ!今・・・っ君を死なせる・・・わ、けには・・・っ!」
「なっ!」
訳が分からなかった。
確かに自分は桃太郎の生まれ変わりかもしれない。
けれど何故自分の命よりも俺を優先させる?
何の力も持っていない、肩書きのみと言っていいほどなのに、何故。
そう考えている間にも鬼は桃夜に向かっていた。

<シネ!!桃タロウッ!!!>

「桃夜!!!」
鬼の長く鋭い爪が目の前に迫る。
貫太郎の叫びも、鬼の声もどこか遠くで聞こえるように感じた。
何故か他人事のように感じる中、桃夜は思った。

 力が欲しい。 目の前の鬼を倒せるような。

 

           
          チカラガ、ホシイ


 ―――ヨベ、トウヤ。カタナノナヲ―――

  俺の刀・・・?

 ―――オマエノカタナノナハ・・・―――

 俺の、刀の名は――――

「幻灯丸ッツ!!!」
その刹那、桃夜に爪を振りかざしていた鬼が叫び声をあげた。
何が起こったか分からず、微かに重みがある左手を見ると、刀身が鏡のように輝いている一本の刀が握られていた。
<ガ・・・ッ オ・・ノレェッ!桃タロウ!!>
鬼が恨みがましい声を出し、またしても襲ってくる。
「・・・っ?!」
一瞬足が竦むが、何故か体が勝手に動き出し、鬼へ刀を振りかざしていく。
(っ何だよ!これ?!)
そう、まるで自分の体ではないかのようにしなやかに動いていく。
そう、まるで、使い方が分かっているかのように。

<ウオオオオオオオオオ!!!!>
暴れる獣のように襲い掛かってくる鬼に、桃夜の体は、頭から刀を斬りつけた。
肉が裂けていく感触がし、鬼は引き攣ったような声を上げ絶命した。
カランッと音を立てて桃夜が持っていた刀が手から滑り落ちた。
「っぁ・・・ハアッ ハアッ・・・・」
困惑と疲労で桃夜も、荒い息遣いでその場に座り込んだ。
(何なんだっ!何が、起こってるんだよ・・・っ!)
桃夜がそう思ったときだった。

「おー、派手にやっとるわなぁ・・。」

桃夜の部屋に知らない声が響いた。
重い空気に似合わない少し高めの関西弁の声。
「誰・・・、だ?」
「ん?ああ。」
チラッと桃夜に視線を向けてから、納得したように頷く。
「あんたが『桃太郎』やな。
俺は狐の黒尾(こくび)言います。よろしゅう。」
ニコリと笑って、そう名乗った。


あとがき
はい何かもう疲れたんで終わります!
ちなみに狐の黒尾(なんか狐刳と似てる・・・。)は狐の嫁入りとかそんな話から作りました。
・・・何か、何がしたいのか分からなくなってきた・・・。
っていうかシリアス?
アレー?こんなはずじゃなかったのになあ。
え〜と、じゃあ魔王にパス。
ガンバ!!

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